第12章 絡まった想い[下]
「...っ!」
(何か...倒したのか?)
まずい...
この音を聞いた誰かが駆けつけて今見つかったら...
一度辺りを確認すると恵は再び耳を当てた
『葵...私に歯向かうの...?』
『...璃央様。もう、あの時の様な事を起こしてはなりません』
(あの時...?)
きっと、俺は聞いてはいけない事を聞いているんだろう
ドクドクと心臓が強く脈打っている
唇を噛みしめ息を殺した
『関係ないわ、もう昔の話よ。それに、皆...私を親友を失った可哀相な少女としか思わなかったじゃない』
ドクン...
鼓動が大きく跳ねる
(親友...)
梨奈の顔が浮かび、拳を握った
(あの日...俺は、葵に引き止められて...)
璃央の言葉に胸がざわつき、首筋を冷や汗が伝う