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愛されたい症候群。

第7章 答えが出ない自問自答




趣味が何かと言われれば
私は多分、読書と答える

よくある平凡な趣味だと言われれば
それまでだけど
それでも私は本が好き

本屋や図書館には割と足を運んだりする



今日はミステリーが読みたくて
さっそく図書館に来た

この静けさと本に囲まれてる空間は
図書館でしか味わえない空気で
私の落ち着く場所の一つ


今日は誰のを読もうかな
そういえば今話題の本が
前は借りられちゃってたけど
今日はあったりするかも

目的の作者の名前の頭文字を思い出しながら
目で棚を追いかける

あ、あったあった


1番上の棚にある本は背伸びして
手を伸ばさなきゃいけないから辛い
チビって言った奴は表へ出ろ


「あ、」


もう少し、と思った瞬間
隣から急に現れた右手が私の取りたかった
本を抜き取った


ここでお互いの手が当たって
恋が始まる…なんてのはマンガの中
だけですよねはーい


「あ、すみません。
これ読みたかったですか?」

「いえ、大丈夫で…」


少しイントネーションにクセがある敬語で
これは関西の人かな、なんて思って
右手の主の顔見上げると

見覚えのある眼鏡、青みがかった髪


「っ!?」

「…もしかして、霜月とちゃうか」

「、な」


なんでここに


そんな六文字すら声にはならなくて
ただただ立ち尽くすしかできない

逃げたい、逃げられない
逃げたってだってまた追いかけられて

ほら、またすぐに


「あ、まさか俺のこと覚えてへんか?
中学一緒やったやないか」


あの嘘くさい笑顔を浮かべながら
目の前の男は淡々としている


なんでこいつらは揃いも揃って
私が忘れてると思うんだろう

それ程大したことでは無かったから?
自分たちの中で小さなことだったから
私も忘れてるだろうと?


昔感じていた恐怖が蘇ってきたけれど
今度はどうしようもない怒りが
それを塗り潰そうとしている


「なんで黙ってんねん。
図書館やけどちょっと小声ならセーフやろ」

「っ、ぅ、」

「霜月は昔から真面目やもんなぁ。
ほんなら外行こか。
この時間にゆっくり本選んどるなら
特に用事もあらへんやろ」


勝手に決めつけるなと言いたかったが
この男の、この嫌な目で見られると
身体が竦んで何も言えなくて

私は何も変わってないんだ
気づきたくなかった



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