第2章 ~1日目~
掴まれたままの腕を更に引き寄せられ、バランスを崩す。
――ドサッ。
シーツの上に散らばる鈴花の髪。
拘束された両手首。
ふと気がついた時には、虎之助によって布団の上へと押し倒されていた。
「……こういう風に」
「ん…っ」
首筋に吐息を吹き掛けられ、耳の裏からうなじ辺りまでを舌先がなぞる。
最後に軽く肌を吸われて、ゾクリと背筋が震えてしまうのを鈴花は抑えられなかった。
「俺だけを見て、俺だけを感じろ」
首筋から顔を上げた虎之助と視線が交わり、抵抗も忘れて瞳に映し出された自分を見る。
彼の瞳はまるで檻のようだと、鈴花は感じられずにはいられなかった。
(……囚われる、全て)
それは、確信めいた予感。
うなじの辺りに散った薄い朱の痕跡は、鎖で繋がれた見えない手錠か。
はたまた、波乱の幕開けか――