第13章 春の季節【葉山 小太郎】〈アンケート〉
葉山は、前を確認しないで走った為、実渕が注意をするまえに扉の近くにいた柚と激突する。
「うわっ!?」
油断をしていた柚は、葉山と激突した後、大きくよろけては扉に後頭部をぶつける。ドンっ!と僅かながら鈍い音が聞こえてきた。
勿論の事、葉山も大きくよろけてはしまうが、倒れるということはなかった。心配してきた実渕は、少々困った表情をしながら葉山を見る。
「ちょっと!前を確認しないから人とぶつかるんでしょ?」
「ごめんごめん。レオねぇ。」
「私よりもその子に謝りなさいよ。」
実渕の言葉に、はっ!とさせる葉山は扉の近くに後頭部をぶつけて、その場に座ってしまっている柚を見る。
「ご、ごめん!よそ見をしてたからぶつかっちゃった。だ、大丈夫!?」
心配そうに顔を覗き込んでくる葉山に、大丈夫とばかりに柚は、両手を左右に振る。しかし、やはり後頭部をぶつかってしまった為、やはりズキズキと痛むばかりだ。
それに気付いた葉山は一度実渕の方を見てから言った。
「レオねぇ。この子を保健室に連れて行くから、先生に伝えてくれねぇ?」