第12章 雪の中で【氷室 辰也】〈アンケート〉
→また、手伝ってもらえないかな?
柚は、恐る恐る氷室に生徒会の仕事を頼もうとする。氷室は、最初僅かに目を見開いてはいたが、やがては優しく微笑む。
「あぁ、構わないさ。部活がない時しか、手伝えないけど、それでもいいか?」
まさかの氷室の言葉に、コクコクと頭を縦に振る柚。氷室は柚に手を伸ばしては頭を優しく撫でる。
氷室の手も完全に冷え切って、とても冷たかった。それは、手袋をしている柚もそうだった。
「『お茶を用意するよ。』いいのかい?それだったら、とても助かる。すっかり冷え切ってしまったからな。生徒会室に行こうか。」
氷室は、柚に手を差し伸べる。それにつられた柚は、氷室の手を握る。
「君とは、もう少し一緒にいられるな。君の手は、温もりを感じられるよ。ちょっとだけ、こうしてよう…。」
雪の中で【氷室 辰也】
〈END〉