第6章 お菓子【紫原 敦】
→今度、一緒に作ろうよ。
柚からの誘いに紫原の手の動きがピクッと止まる。どうしたのかと思い柚は、首を傾げる。
「一緒に作るって、ホント~??」
突然の紫原の質問に、少しだけ戸惑ったがすぐに頷く。
「いいの~、やった~。オレも一生懸命作るよ~。頑張ろうね~柚ち~~ん。」
お菓子を貰った時よりも、更に喜びを見せる紫原。それは、まるで大きな犬のようにしか見えなかった柚だったが、クスと笑うだけで、黙っていたのだった。
今度の休みの日に、作ろうという約束をする2人。柚は、自分の席に戻って行く。その様子を見ていた紫原は……。
「本当は、もっと一緒に居たいっていう気持ちがあったんだよね~…。そんな事、柚ちんには、言えそうにはないけどね~。」
どこか照れくさそうにしていた。紫原が言った言葉は、柚には聞こえてなかったのだ。
お菓子【紫原 敦】
〈END〉