第16章 テスト【笠松 幸男】〈アンケート〉
夏休み入る前と言えば、やはり期末テストが待っている。一週間ほど、部活停止という決まりがある。大抵の運動部は、この一週間を利用して勉強をする。
海常のバスケ部もそうだ。そして、3年生にとってはテストの一回一回がとても大切な時期となっていた。
「笠松ー!テスト勉強どうだー?」
「うるせぇよ!森山!ちゃんと勉強してるんだよ!」
笠松と同級生でバスケ部のメンバーである森山から話しかけられた、笠松は苛立ちを見せながらそんなことを言ってた。笠松の机の上を見れば、教科書やノートが広がっていた。
「けどよ…。どうしてもわかんねぇ部分があるんだよな。」
「……あ、そこか…。俺もイマイチな部分だな。」
笠松が分からないという部分に、同意をする森山は難しそうな表情をしていた。すると何か思い付いたのか、ぱっと顔を上げればこんなことを言い出す。
「だったら、柚ちゃんに聞けば?」
「松山のことか?確か、アイツ学年で1位だったよな?」
柚は、学年で1位という成績を持っている為、かなり頭が良いという評判。何よりも誰に対しても優しく教えるという。