第3章 靴屋の小人
「さて、じゃあ次は『靴屋の小人』だな!またおさらいしながら歩く
ぞ。」
「うん!」
「この物語は靴屋さんのお話だ。
夫婦で靴屋をしているところがあってな、若い頃は手際もすごくよく
て店も繁盛していたんだが、だんだん年をとるにつれて手際は悪くな
るし、一足作るのにあまりに時間がかかるようになってしまってな。
稼ぎも悪くて、靴を作るための皮があと一枚になってしまった日の話
だ。
おじいさんは最後の皮を丁寧に丁寧に型紙に沿って切った。
でも糸を通して縫おうとした頃にはもう外が暗くなっていて、完成さ
せるのは次の日にした。
次の朝、最後の靴を完成させようと思って仕事場に行ってみたら、な
んと、昨日まで皮だったものがきれいな靴になっていたんだ。
誰が作ったのかは分からないがあまりに素晴らしい靴のできばえだっ
たらしい。
そしてその靴はその日のうちに高値で売れたから、おじいさんはその
お金で靴2足分の皮を買いに行って、昨日と同じように丁寧に切って
また仕事場をあとにした。
翌朝、仕事場に行ってみるとやっぱり靴が作られているんだ。
皮を買って切って置いていたら次の日には完成している。
そんなことが毎日続くものだからおじいさんは犯人を突き止めること
にしたんだ。