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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第8章 過去との決別


――柳side――
どこかから弦一郎の叫ぶ声が聞こえた

急いで駆けつけると吉野が倒れ、揺すりながら声をかけていた

「弦一郎、何があったのだ?」

そう尋ねると俺がいることに今気づいたらしく、呼吸を整えながら話しだした

真田「ノックをしたのだが返事がなかったので押し入ったのだ。

そしたら、震えて泣いていたので駆け寄ったところ気を失った。

吉野は大丈夫なのか?」

説明も程々に、彼女の容態をみている俺にそう問う

「恐らく、眠っているだけだろう。大丈夫。

弦一郎は招集の方へいけ。俺は此処に残っていると先生方に伝えてくれると助かる」

そう一気に言うと、弦一郎は心得たように頷きそのまま部屋を後にした

それを確認してから、吉野をベッドへと寝かせた

少しすると悪夢でも見ているのか、彼女が汗をかきながらもがき出した

急いで近くの畳んであるタオルを掴むと、彼女の顔をそっと拭いた

「…ふじ…先輩………」

その言葉に目を見開く

まさか藤江の夢を見ているのか?

昨日の吉野と弦一郎の接触は先ほど聞いた

まさかその所為で…?

今度は俺の頬につぅっと汗が流れた

「い…や……」

俺は彼女を追い詰めている…?

そう思うと心がざわついた

俺は彼女を観察し過ぎたかもしれない

情を抱くほどに

「いやあ!!!」

彼女は大声を上げると、自分の声でなのか目を覚ました

俺は彼女の汗を時々拭いつつ、探りを入れるように色々と尋ねた

夢の内容を聞く限り、引き金は俺であろうと勝手な推測をした

そして自分の意に反して、彼女を抱きしめた

そうしたことに驚いたのは自分のほうだった

「何かあれば俺のところへ来い。いつでも、なんでも受け止めてやる」

そして自分の口から出た言葉にも驚愕した

肩入れが過ぎやしないだろうか?

俺は彼女を立海に引き戻したくて此処に残った

なのについて出る言葉もこの行動も

自分自身が一番不可解なのだ

それとも俺は彼女に“引きこまれてしまった”のだろうか

自分の心臓が大きくトクリと鳴り、肯定されたのだと気づくと苦笑した

――柳side END――
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