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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第4章 強化合宿のはじまり


「あ…かや…?」

私は今、世でいう壁ドンというものをされている

後ろには出入り口の扉

目の前には深い緑がかっている大きな目

今の状態を理解出来るはずもなく、逃げようと身をよじる

切原「おい、逃げんな」

赤也の左手は扉に、右手は肩にかかっていて完全に逃げ場を無くしてしまった

「赤也?」

名前を呼ぶと、赤也の目は大きく揺れた

切原「俺はいつだって傍にいたのに!お前は俺を見てくれない…。」

「赤也…」

そっと赤也の頬に触れる

試合で負けた時と同じように

悔しそうに涙を流していたから

切原「お前は海堂がいいのかもしれねえ。だけど俺には…


俺にはお前しかいないんだよ…」

嗚咽混じりに伝えてくれた言葉に

私は何も言えなかった

何にも考えたことなかった

赤也の気持ちも、私の気持ちも


海堂は憧れの存在だった

強く、優しく

こんなに近くなってしまったのはいつからだろう

今の私は彼をどう思っているのだろう

赤也はそんな私を見つめて、また悔しそうに悲しそうに顔を歪めている

肩を抑えられていた力が抜かれ、全身に暖かみを感じた

抱きしめられている

切原「もうどこへも行かないでくれよ…あいつのことも考えないでくれ……俺は…真琴が好きなんだよ」

か細く掠れた声で、耳元に囁くように懇願する告白だった

私は何と答えればいいのだろう

海堂への気持ちと同じくらい考えたことのない疑問だった

中途半端な気持ちで抱き締め返すなんて、私には出来なくて

されるがままだった

「………っ」

何にも答えない私にどう思ったのだろうか

切原「嫌なら拒んで」

そう一言いうと、私の後頭部にあった右手を顎にかけ

クイッと持ち上げられ、拒むことも出来ないまま

私は赤也と優しいキスをした

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