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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第11章 この景色とアナタの言葉


「なぁ。どこに行くの?」

私達は今、施設を出て裏の森へと来ていた

周りの木が高くて自分がどの辺りを歩いているのかわからない

海堂「着けば分かる」

さっきから彼はその一点張り

いい加減そろそろ教えてくれればいいものを

夏と言えど夜になると潮風で寒い

上着を持って来るべきだったと後悔をし始めた頃

目的地に到着した

「わあ・・・!」

そう声を上げると見惚れた

ここは以前地下を見つけた大樹のすぐ傍だった

近くに川が流れていて、そこには


無数の蛍が飛び交っていた

「すごい!蛍がいるって知ってたのか?」

私は辺りを見回した後、海堂の顔を見た

海堂「地下から抜けだした時、ここには蛍が集まりそうだって思ってな」

そう言うと彼は頬を掻いた

「ビンゴだね。凄く綺麗…」

頬が緩むのを感じながら、私達は無数の蛍を眺めた

海堂「なぁ、覚えてるか?合宿前にバスで話そうとした事」

彼は唐突に会話を切り出した

確かに合宿前、バスの中で彼は何かを言おうとしていた

「覚えてる。桃が来る前だろ?」

目線を彼に移してそう言うと、彼は少し顔を歪めた後頷いた

ああ、またその悲しそうな顔

私はそっと海堂の頬に触れた

海堂「!?お、おい。なにして…」

彼は顔を真っ赤に染めるとそのまま硬直してしまった

「悲しい顔、してるから」

私は海堂の目を見つめたままポツリと呟いた

その言葉に彼は一瞬目を見開くと、また目線を逸らした

海堂「……真琴はよく桃城の名前を出すなと思ってな」

振り払うこともされない私の手は海堂の頬に触れたまま

彼の喋る度に感覚が伝わってくる

「桃は青学に来て、初めて出来た友達だから」

私は逸らされた海堂の目を見たまま言った

彼はそれに気づいたのか深呼吸するとこちらを再び見た

数十秒ぶりに目線がかち合う

彼のその目と合うと、私の心臓は緩やかに速度を上げて鳴りはじめた
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