第10章 真実と覚悟
「海堂にも言いましたけど、俺は青学のみんなと全国で優勝したい。今年も、来年も。」
海堂に伝えたことをそのまま乾先輩に伝えた
そう伝えると先輩は大きく頷いてくれた
乾「そう言ってくれると思った。きっと海堂から聞いただろうが、今日の9時にD施設の談話室に来て欲しい」
確かにそれは昨日聞いた招集の話であった
「詳しく聞いてもいいですか?」
招集自体は聞いていたが何故だかは聞いていない
乾先輩は少し渋っていたが話してくれるようだ
乾「青学の全員に招集をかけている。目的は…
君のことを打ち明けようと思っているんだ」
その言葉を聞いた途端、ランニングしていた足がぴたりと止まってしまった
乾先輩も立ち止まりこちらを振り向いた
何か言わないとと思うが、口がぱくぱくするだけで言葉が出てこない
乾「吉野。俺らを信じて欲しい。一緒に全国で勝つために」
先輩の目が私を真剣に見つめている
眼鏡越しでも分かるほど強く射抜かれ、一瞬言葉に詰まった
怖い
けど、私は信じてみたい
みんなのことを
私はただ、頷いた
それを見て安堵の息をついた先輩は自分の施設へと戻って行った
私もフラフラと自分の部屋へ戻り簡易シャワーを浴びた
青学のジャージに袖を通し、鏡越しに自分を見た
“もう仲間に嘘をつく必要は無い”
そう思うと、気持ちは幾分も落ち着いていく
顔色も良く見えて映った
扉の向こうからノックの音が聞こえる
私は一つ深呼吸をしてから迎えの来た扉を開いて朝食へと向かった