第17章 新年の宴/織田信長陣営
「愛香」
信長様の低い声が座敷に響き渡るのは気のせい?
「貴様はいつから耳が聞こえなくなったんだ」
怒ってらっしゃる……
不機嫌ですよね?
絶対に不機嫌ですよね?
油の切れたロボットのようにぎこちなく私の首が信長様の方に向く。
無言で顎をくいっと動かす信長様の意図は……
傍に来い__だよね?
「早く行った方がいいぞ(面白いモノが見れそうだな)」
笑いをかみ殺しながら喋る光秀さんに背中を押され、信長様の目の前に座る。
黙ったまま私を見詰めてくる信長様が、心底怖いんですけど。
とてもじゃないけど直視出来ない。
「なぜ俺の目の前に座る?」
「ん?」
「貴様の場所は此処であろう?」
隣りをチラッと見るので
慌てて信長様の隣りに座り直すと
「?!」
私の首を掴み、驚いて顔を上げた瞬間に口の中にお酒が入って喉を通っていく。
まばたきを繰り返していても、唇は離れることなく寧ろ、舌が私の口内を荒らしている。
「んっ、んんっ……」
恥ずかしいよ!
みんなからの視線が、チクチクと突き刺さって痛いし、口付けをしているのを見られてるなんてっ
酔いが一気に回ったみたいに心臓がバクバクとしてるし、息も苦しい。
惚けてきて意識がとびそうなになるのを必死で堪えて、信長様の胸を軽く叩くと
「ふはっ……」
ようやっと唇が離れてくれた。
「待ちくたびれだぞ、愛香。貴様が誰の女であるか分かっているだろうな?」
「……誰の女って……」
はっきりと答えない私に
「その躰に教え込んで貰いたいのか」
とびっきりの甘い囁きに頭が破裂しそう
「今宵は一睡もさせん。覚悟しとけよ」
不適に笑う信長様に私は、素直に堕ちるしかない。
そう覚悟を決めたのであった。
「やっぱり信長様にはかないませんね」
「三成も狙っていたのか?」
「……バカじゃないの?」
「まあ、俺には関係ないけどな。欲しかったら奪うだけだ」
「面白くなりそうだ」
オマケに続く→