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青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第9章 私も行く



バレンタインからちょうど一か月が過ぎた。

ということは今日はお返しホワイトデーだ。

朝練へ行けば、先輩方からお返しに、と沢山のお菓子を貰った。中にはハンカチやハンドクリームをくれる先輩までいた。


「わあ、ちょうどハンドクリーム欲しいと思っていたんです。ありがとうございます」


もう三月になったとは言え、まだ冬の寒さが残る日々。

水場の仕事が多いマネージャーの私は皸するほどではないが、以前に比べて手の甲がカサカサしていた。


「バレンタインというより日頃の感謝も兼ねて、だな。喜んでもらえて良かったわ」


私が嬉しそうにお礼を言うと、久保田先輩はそう言って、練習を始めるためにストレッチを始めた。


「おら、俺からもだ」


久保田先輩の隣でストレッチを始めた修ちゃんは、座り込んだまま乱暴に私に向かって綺麗にラッピングされたそれを投げてくる。


「ちょっと、久保田先輩を見習ってちゃんと渡しなさいよ」

「うっせ」


渡された(正しくは投げられた)修ちゃんからのお返しは、毎年この時期に見るものと全く同じだ。

まさか今年も…、と思い、一応中身を確認すると、例年通りそこにはマカロンの詰め合わせ。


「本当、変わり映えしないわね」

「文句言うんなら返せ」

「有難く受け取っておくわ」


さっちゃんも私のように、先輩方からお返しの品々を受け取っていた。

私と少し違うのは、修ちゃんがきちんと手渡ししていたことと、お返しを受け取るたびに「もう手作りはいいから」と言われていたことだ。

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