第8章 お酒の誘惑
思ったんだけど…。
「帽子取っちゃって良いんですか?」
「え、なんで?」
「料理届けに来ますよね?」
「あ、そうやな」
大倉さんが慌てて帽子を被ると…。
「お待たせ致しました」
料理が到着した。
「ごゆっくりどうぞ」
店員さんが去り、再び帽子を外す。
「ふぅ〜、ありがとな。花音ちゃん」
「いえ」
「さ、食べよ?」
「はい」
「花音ちゃんも飲む?日本酒」
日本酒?飲みたい…けど。
「…今日は良いです…」
今日、すばるに言われた。
『俺以外の奴と酒呑んだらアカンで、お前は絶対喰うからな』
「今日は?明日仕事なん?」
「そう言うんじゃないんですけど…」
「日本酒嫌い?」
「いえ、好きです…けど」
「まぁ、呑みたくない子に無理矢理呑ませたりせんよ。
呑みたくなったら言ってな?」
「はい、ありがとうございます」
大倉さんが料理に手を付けたのを見て、私も食べ始める。