第5章 【SO】影山飛雄 〜言葉ハ雨ニトケテ〜
肩を叩かれて振り向くと、そこには見覚えのある姿があった。
『あれ、君達。、、、確か、変人コンビ。』
日「び、びびじょだ!この前、清水先輩と一緒にいた!」
ドキッ!、、ドキッ!、、ドキッ!、、
心臓が途端にうるさいくらいに、早く鳴る。
「先輩、ですよね?」
『そうだよ、セッターくん。』
「俺、影山飛雄です。」
『ふぅーん。』
初めて近くで見た先輩は、日向が言うように美人だった。日向よりも少し高い身長。パッチリとした目。この前とは違って結んでない髪は、胸くらいまでの長さで、シャンプーの匂いがふわりとした。
菅「あれ、日向と影山!?なにやってんだよ、こんな所で。あ、旭。この前入った1年の日向と影山。」
東「おー!一年かぁー!」
日「これが噂のエース!!!ちわっす!」
東「おーッス。」
菅「あれ、確か?まで、どうかしたの?」
『この間は部活見学させてくれてありがとう。この二人に入り口ふさがれちゃっててね。じゃあね、影山くん。』
そう言って先輩は俺と日向の間を割って教室に入っていった。
後で菅原さんに聞いた所によれば、先輩はこの4月から両親の仕事の都合で烏野にやってきた転校生だと言う事だった。
菅「意外だなー!影山がバレー以外の事話してくるなんて。」
「っ、、、、!!、、べつに、そんな事ないっス。」
菅「別にいいべやー!隠すなって!俺もいいと思うよ?なんてーの、あの儚げな雰囲気というかさ!」
「はかなげ?、、」
菅「なんてゆーのかな、消えて無くなっちゃいそうな感じというか、そんな感じだよ。」
「はぁ、、、。」
あの感じを儚げというのか。
俺は頭の中で先輩を思い浮かべる。
サラリとした長い髪
シャンプーの匂い
夜明け前の空みたいな儚げなのに心がざわめくような存在感
それだけで、ギュッと心臓が苦しくなる。
好きなのかもしれない。
いや、好きなんだ。
そう思った。