第1章 日向翔陽 『あたしも。俺も。』
宮城にもとうとう雪が降ってきた。
吐く息は真っ白で、そのせいで視界が白い…。
ごめんなさい。言い過ぎました。
デートの約束に遅刻で猛ダッシュ中だからです。
「くっそ〜!!なんで目覚ましならないかなぁもう!!先輩は…。」
ん?先輩と…誰だあの人…。
「ねぇ!お茶くらいいいでしょ?彼氏来ないし!
さっきからずっと待ってるじゃん!」
「すみません…。困ります…。」
俯いて拒む先輩に、無理矢理迫る男…。
男が先輩の手を握ろうとした時、
体が勝手に動いていた。
「おい…
先輩に触るな…」
「翔陽くん!」
その目は少し潤んでて…とても怖かったんだと思い知らされた…。
すいれん先輩を庇うように、男の前に立った。