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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第4章 再び地下街へ









「あの方がどのような立場であったかなど儂からは言えぬ。
・・・じゃが、一つ言える事はあの方は儂らにとって
かけがえのない御仁という事だけ。あの方は儂らにとって
夢であり、希望であり、神のような存在だった」


ナナシを思い出しているクレイグの表情は、
眩しい何かを見るように遠くを見つめていた。

知りたい情報を引き出せないと判断したエルヴィンは、
一先ず話題を変えることにする。


「ナナシがどういう立場だったかという話を諦める代わりに
お聞かせ願いたい。貴方は第一部隊の・・・改造手術を
受けられた方ですね?先程リヴァイを吹き飛ばした手並みは
常人が出来る事ではありませんから」

「・・・・そうじゃ。儂は改造手術を受け、戦闘能力を上げた兵士じゃ」


交換条件のような話に乗ったクレイグは、
静かにエルヴィンを見返した。

ナナシを売るような真似をしないクレイグの忠誠心に
三人は内心驚くが、ナナシの為人を思い出すとすぐに納得する。

ナナシは不思議なカリスマ性と人望があるのだ。


「どのような改造手術だったか覚えていますか?」

「いや、全身麻酔でどう改造されたかは知らん。
・・・ただ手術後暫くは身体に激痛が走り辛い思いはしたな。
苦しんでいる時、あの方は心配して様子を見に来て下さった。
それがどんなに励みだったか・・・」


エッカルトの日記と共通している証言だな、とエルヴィンは考えた。

そういえば『クレイグ』という名前も日記で書かれていたことを思い出し、
エルヴィンは数奇な運命に口角を吊り上げる。




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