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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第33章 ナナシの想い










「お主は私に不安を感じているのだろう?だから、
その元凶であるこの『心臓』を暫くお主に預けておきたいのだ。
そうすれば、お主の不安も少しは晴れるのでは無いかと・・・
思って・・・・。・・・それしかお主に対して見せられる誠意が
・・・無いから・・・・」

「・・・・・・・・」


段々尻窄まりになっていくナナシにエルヴィンは言葉を失うしかない。

まさかナナシがこれ程まで自分に誠意を見せようとしてくれるとは
夢にも思わなかったからだ。

思わず手で顔を覆い、真っ赤に火照った顔を隠す。



こんなに『好き好き大好きエルヴィン』オーラを出しているのに、
何故想いには応えてくれないのだろう?

余りにもナナシが可愛過ぎて抱き締めたくなった。



「・・・・ナナシ。その・・・今君を抱き締めても良いかい?」

「・・・何故?」

「君が愛しいと思うから」

「・・・・・・・」


ナナシはエルヴィンを拒絶せず、無言でコクリと頷いた。
その頬は薄っすら赤みを帯びていて、うつむき加減にはにかんでいる。


そんなナナシを見てエルヴィンがじっとしていられるはずもなく、
性急に椅子を立ってナナシを抱き締めた。

ぎゅっと小さな身体を抱き締めても、ナナシは嫌がる素振りも見せず、
静かにそれを受け入れる。

抵抗されず抱かれるなど滅多にない事なので、
エルヴィンの心は舞い上がった。





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