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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第3章 不運な男








「ダメだ!いくらおまえの頼みや事情があっても、
ナナリーとの約束を破る事など・・・」


・・・と言っている間に、いつの間にか背後に忍び寄っていた
リヴァイの手によって茶封筒が奪われたが、
何を思ったかすぐに彼は奪った茶封筒を無造作に床に投げ捨てた。

ナイルがリヴァイの奇行にポカンとしていると、
床に落ちた茶封筒をエルヴィンが拾い上げ、ニッコリ微笑む。


「ナイルは運悪く茶封筒を『落として』しまい、
それを『たまたま』私が拾って持ち主を特定する為
『仕方なく』中身を見た・・・という事だ」


その言葉にナイルは口をあんぐり開け、エルヴィンの屁理屈に
心底呆れ果てた。


「いや、おまえ・・・それは屁理屈・・・・・・」

「君のために言い訳を考えてやった私に、何か意見でもあるのか?」

「・・・・イイエ、ゴザイマセン」


もう何を言っても無駄だと悟ったナイルは、
遠い目をしながらまた心の中でナナリーに謝罪した。

良心は痛むが、己の命と良心を天秤に掛ければ
ナイルは迷わず命を選ぶ。

エルヴィンならナイルを物理的にも社会的にも抹殺できるだろう。


悲しき事にそれを平気でやってのけるのが
エルヴィン・スミスという男だった。






・・・でも、あのエルヴィンが一人の人間のためになぁ・・・・





冷酷で悪魔と罵られている男が、誰か一人のために
必死になっているのを見ると、お人好しのナイルは
つい絆されてしまう。



ナイルは自分が出来る範囲でこっそりナナリーを探してやろうと
心の中で思った。






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