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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第16章 襲われる












ベッドに寝かせたものの、リヴァイは医療班ではないので、
どうすればナナシの苦しみが取れるかわからない。


ハンジにナナシを任せて自分があの部屋に残れば良かったかという考えが
頭を過ったが、恐らくそれは正解ではない。

自分は口下手であの状況を上手く誤魔化す自信が無かった。


ナナシが強姦されそうになっていた事、
その相手四人をナナシが殺そうとしていた事は
隠さねばならないという事だけしかリヴァイには判断出来なかった。




問題が起こってしまったので団長であるエルヴィンに報告しなければ、
と思うものの、ナナシがこんな事になったと知ったら暴走するに違いない。


だが、これはすぐ報告すべき事案なので
リヴァイが重い腰を上げようとすると「リヴァイ」と
ナナシから声が掛かった。

振り返ると、そこには人形のように表情を失くしたナナシが立っていて、
静かにリヴァイを見据えていた。


寝ていろと声を掛けようとしたリヴァイに、
ナナシは自ら着ていたシャツを肌蹴させ
今まで頑なに隠し続けてきた身体を見せた。


あまりにも突然の行動とナナシの身体にリヴァイが固まっていると、
ナナシは目を細めて言った。


「この身体を見ても、まだ私を仲間だと抜かすのか?
気味が悪いだろう?これでもお主は私を抱けるのか?」


醜い十字傷とクモの巣状に広がる血管には驚いたが、
リヴァイは真剣な表情でナナシの身体を抱き締める。


「自分で自分を傷つけるような事言うんじゃねぇよ、馬鹿野郎。
その程度の事で俺が怖気づくとでも思ったか?見くびるな。
俺はどんなおまえでも受け入れる。おまえが良いって言うなら
すぐにでも抱きてぇよ」


ナナシが息を呑んだのが伝わってきた。





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