過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第3章 不運な男
「あー・・・どうすっかなぁ」
調査兵団本部前で、憲兵団師団長ナイル・ドークはウロウロしていた。
一ヶ月前の狙撃事件からエルヴィンの機嫌の悪さを知っていたので、
彼に見つからないように『ナナシ』とかいう奴に会わなければ・・・
と考えていた。
しかし、ナイルはナナシがどういう男かも知らない。
「安請け合いすんじゃなかったか・・・・」
ナイルはエルヴィンの婚約者のナナリーの姿を思い描き、
いやいやと首を振った。
泣いている女の頼みを聞かないなんて、
それは最低な男のする事だ。
しかも、その女はエルヴィンの為を思って泣いていたのだ。
親友(?)として嬉しくないはずがない。
そう――――ナイル・ドークは律儀にも約一ヶ月前に頼まれた
調べ物を届けに、調査兵団までやってきたのだった。