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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第12章 心の天秤











「隙だらけだ。そんなんじゃ襲ってくれと言ってるようなもんだぞ、ナナシ」

「・・・・・・・・・私を襲おうとするのは
エルヴィンくらいだと思うが・・・・」

「ほう?唇を奪われたくらいじゃ、てめぇは襲われた内に入らねぇのか。
どこまですりゃ危機感を持つんだ?俺は今てめぇを襲ってんだよ」


リヴァイが服に手を掛けてきたので、ナナシは慌てて
その手を振り払おうとしたが、弱った身体と上から伸し掛かられたせいで、
それもままならずベッドに抑え込まれる。


これ以上体重や力を籠められてしまえば傷が開いてしまいそうで、
リヴァイに抗議の声を上げた。


「退け!苦しい・・・っ!」

「・・・だろうな。苦しむように力入れてんだ。当然だろ?」

何ということはないといった風に言ったリヴァイの言葉が信じられず、
ナナシが彼の顔を見ると、リヴァイは辛そうに眉を寄せていた。


「おまえは自分が誰からも好かれないと勘違いしているみてぇだから、
この際言っておく。おまえが撃たれたと知った調査兵は皆心を
痛めて悲しんだ。毎日毎日飽きもせず俺の所にきては、
おまえの病状を聞きに来ていた奴もいた。
行方知れずという事実は伏せられてたから、
はぐらかすのに苦労したもんだ。だが、
やっとおまえが帰ってきたと思ったら、心を閉ざしているときてる。
・・・正直、うんざりだ。いい加減、何故俺達と
距離を置くようになったのか答えてもらいたいもんだぜ」


グッとまた体重を掛けられてナナシは呻いたが、沈黙を貫く。

エルヴィンの腹心の部下であるリヴァイにも言える事ではない。


暫く体重が掛けられていたが、少しするとリヴァイは
体重を掛けることを止め、ナナシの身体を抱くように
覆い被さり大きく息を吐いた。




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