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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第10章 眷属達の想い











「君達の忠誠心に敬意を。ナナシは私達に任せて欲しい」


エルヴィンの言葉を受けて、漸く三人は硬い表情を解き、
イサザが苦笑しながら「ナナシちゃんに酷いことしないでくださいよ」
と言葉を掛けた。


「それはナナシ次第になると思うが、善処しよう」


『善処』というエルヴィンの言葉にジェリーは眉を寄せ、
ジャックを睨む。


「『善処』ってのは、後ろ向きな努力って事だろうが。
本当にこいつで大丈夫なのか?ジャック」

「うーん・・・自信が無くなってきました。ですが、
もしもナナシ様に酷い事をされてしまった場合、
いつものように・・・・」




「殺しましょう」

「殺す」

「殺しちゃう?」





物騒な事を言った三人の目が笑っていないことから
本気で言っているのだとわかり、恐ろしいまでの忠誠心だと
背筋に冷たい汗が流れた。

固まったエルヴィン達の様子に、イサザが場を和ますように笑う。


「あ、嫌だなぁ。冗談ですよ?冗談。
ナナシちゃんの許可が下りない限りはしませんって」



おい、待て。
ナナシが「殺していい」と言ったら本気で殺しに来るのか。
全然冗談になってないじゃないか。


「あ、最後に忠告しておきます。もしも、
黒髪に黒い瞳の青年が現れたら気をつけて下さい。
彼は一応『家族』ではありますが、ナナシ様を独占したいと考える
『ヤンデレ』ですので話は通じません」


それでは失礼致します、と言ったかと思えば、
三人の姿は窓から入ってきた風と共に消え去っていた。


つくづく人間離れしているなと思ったが、
彼らが何であろうと今はどうでも良い。




エルヴィンはそれぞれ何を話したかリヴァイ達と情報を共有すると、
夜会に誰が行くか相談したのだった。







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