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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第10章 眷属達の想い









「失礼致しました、皆様。勝負は我らの負けという事に
なりましたので、お約束通り欲しい情報を一つだけお伝え致します」


情報を一つ提供するという言葉に、
エルヴィンはどう尋ねるか考えた。

ナナシの居場所か、ナナシをどうすれば調査兵団に戻せるのか・・・
質問を間違えれば、折角のチャンスが水の泡になるだろう。



だが、そんな考えはエルヴィンの杞憂に終わりジャック達の方から、
エルヴィンの欲しい答えを言ってくれた。


「ナナシ様は三日後、とある貴族の夜会に紛れ込みます。
何でもそこに『心臓』の手掛かりがあるとか・・・。
これがその夜会の招待状です」


そう言ってジャックが白い封筒を差し出してきたので、
エルヴィンがそれを受け取るとジェリーが「偽造だがな」と笑った。


「怪しまれないように一人分だ。誰でも良い。
ナナシを捕まえられる自信がある奴が夜会に行ってこい」


ジェリーの言葉を聞き、エルヴィン達が白い封筒に
視線を落としていると、イサザが心配そうな声を上げた。


「でもナナシちゃんの傷は全然癒えていないんだ。
きっと立っているのも辛いはず・・・。多分女装じゃなくて
変装すると思うんで目を凝らして探さないと、
ナナシちゃんは見つからないと思います」

「貴方がたに情報を渡した事は、ナナシ様もツクモも知りません。
恐らくこの機を逃せば貴方がたはナナシ様と二度と会えないでしょう。
それだけは肝に銘じておいて頂きたい」

「ナナシがおまえらに会いたがってないのは本当だ。
あいつは元々用心深いし、弱っている今しかおまえらには勝機はねぇ」


イサザ、ジャック、ジェリーが何故そこまでしてくれるのか
エルヴィン達には理解出来なかった。


普通に考えれば、これはナナシに対する裏切り行為である。


主であるナナシを裏切って、エルヴィン達に加担する理由が
何かあるのだろうか?





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