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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第10章 眷属達の想い












「―――チッ、エルヴィンは何してやがる」

「・・・いつものような冷静さが無い。マズイな」


飲み比べ勝負をしていたリヴァイとミケは、
エルヴィンがあっという間に負けた姿を見て苦い顔をした。


いつものエルヴィンだったなら、あんな負け方をしないはずだった。


ジャックという男のチェスの腕もそうだが、
心理戦においてエルヴィンより有利なのは見ていて明らかだ。


「あいつは昔っから、えげつねぇ方法ばっかやるから嫌いなんだよ」


度数のキツイ酒をぐいっと飲み干したジェリーが
忌々しそうに言葉を吐き出す。

どうやら顔が瓜二つの双子といえど、
仲はそんなよろしくないらしい。


「てめぇらんとこの団長さんも運が無かったな。
チェスと飲み比べではこっちの勝ちか・・・」


まるでリヴァイ達も負けるような言い草に、
リヴァイとミケは眉間の皺を深くし睨みつける。


「おいおい、何勝手なこと抜かしてやがる。
こんな水みてぇな酒ばっかじゃ飲んだ内に入らねぇよ」

「ほう?おチビちゃんの癖に飲めるのか」

「あぁ?今なんて言いやがった?」

「おチビちゃん」


あからさまなジェリーの挑発に、
ミケは「抑えろリヴァイ」と心の中で叫んだが、
リヴァイの額に浮かんだ青筋具合を見るとマジでキレる五秒前状態だった。

リヴァイは青筋を立て怒りに震えながら口角を吊り上げて言い放った。


「チェリーって言ったか?図体ばかりでかくて、
オツムもあそこもチェリーそうな奴の挑発なんざ屁でもねぇよ、クソが」

「あ゛ぁ゛?」


次に額に青筋を立てたのはジェリーの方だった。


今にもお互い飛び掛かりそうな雰囲気にミケは溜息を吐きながら、
ゴロツキ同士仲が良いなと現実逃避しながら酒を煽る。


リヴァイとジェリーの子供染みた罵り合いは暫く続くのだった。





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