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FFⅨ GrayLee (Long)

第13章 falls


「君も、大人しそうな顔をして抜け目ないねえ。ここに来て情が移っただけかもしれないよ。もし気が変わるなら夜が明けるまでならまだ間に合う。よく考えることだね。」

彼は少し困ったように私の輪郭を両手で挟むと抱きしめるように後頭部を抱え軽く抱擁する。私はそんな彼の胸をぽんと押して、離れると先程落としたハンドガンを拾う。銀色のボディを手中でくるりと回しながら月明かりの差し込む窓を開ければ冷たい夜風が舞い込み、スカートの裾を揺らした。私は握ったハンドガンをもう一度確認すると窓枠の外に差し出し、手を離して振り返る。無意識に口角が上がった。

「もう変わらないよ。ブラネ様は変わり果ててしまった。私が敬愛してた頃とは似ても似つかないくらい。気づいてはいたけど離れられなかった。居場所を失うのが怖かったんだ。けど今は大丈夫。…ねえ、一つだけ聞いていい?」
「なんだい?」
「あの日、私を引き取って後悔してる?」

投げかけられた問いに溜息をつく彼の表情は気のせいかもしれないが僅かに安堵を含んで見えた。

「何を言い出すかと思えば随分と野暮なことを聞くんだね。」
「アレクサンドリアの最新兵器を窓から手離すくらいには無粋なの。」
「笑えない冗談だよ。」

クジャは私に歩み寄り窓枠に手をかけると、こめかみに口付ける。

「君を連れてきて後悔したことなんて一度もないよ。それにしても、しばらく見ない間にいい女になったんじゃないかい?」

彼は私の答えを聞く前に唇を塞いだ。
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