• テキストサイズ

カミツレの誤算

第1章 桜の花散ることも無し


3.


ああ。
今日のハルが
やけに、遊んでもらおうと
ボールを咥え、尻尾をふる
柴犬に見えたのはこのせいか。
「今、ひどいこと思ってるだろ!」
バカだが、変なところが敏感だ。
でも、そんなことはない。
悪口ではないのだから。
...まあ、そんなことはどうでもいい。
「なんだ、いい話って。」
僕が問うと、ハルの顔が
ぱあっと明るくなるのが嫌でも見えた。
「文化研究部に入らないか?!」
...はあ?いやいや、ちょっと待て。
「兄貴たちの話、しただろ。入らん。」
「まあまあ。最後まで聞くんだな。」

ハルには、僕の二番目の兄と
同い年の姉がいる。
瓶ヶ原高等学校の出身の
彼女によると、
現在文化研究部は
去年の三年が引退したことで
廃部寸前らしい。
だが、部室は文化研究部
前部長のおかげで
結構いい部室を手に入れたそうな。
「そこで放課後を有意義に
過ごそうというわけさ!」
「...はあ。」
そこまでして学校にいたくもないが。
すると、
あまり乗り気ではない僕を
遮るように、学校のチャイムがなった。
「やべっ!!」



午前9時頃。
丁度、新入生の登校時間。
走り出した僕たちは
これから起こる出来事を
想像もしなかっただろう。
/ 5ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp