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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第15章 ◆狐ノ嫁入





「・・・。」


「完全に私を忘れていただろう。」


「・・・。」


「こーんなに存在感抜群の格好をさせておいて

忘れるとはどういう教育だ!全く。」



「こ、これは失礼いたした・・・達磨狸様。

ええ、と列はちゃんとよ、用意しております!」



完全にニャンコ先生の存在を忘れていた

と言わんばかりに

分かりやすくアタフタとする子狐妖。


その子狐妖にふっと影が掛かり

目の前のニャンコ先生が

首根っこから浮かび上がる。


そして、ポテッと落ち着く先は



「集るなよ、先生。」



ニャンコ先生の飼い主である、

夏目の肩だった。




「先生は俺と一緒でいいだろう?

俺の〝用心棒〟(自称)なんだから。」


「ナニ!

適当に扱っているだろう、夏目!

(自称)は要らんわ!」


「・・・はいはい。

(普段、酒飲み散らかすだけで

肝心な時に居ない癖によく言うよ。)」


「()の中身が丸聞こえだ!夏目!」



「・・・ふふ。」



夏目とニャンコ先生のコントのような

いつものやり取りに思わず笑が零れるさな。


大切な役割の儀式という中で

さなが少し落ち着ける時間でもあった。



「・・・。」



そんなさなへと

一瞬だけ視線を向け少しホッとする夏目。



ー・・・さなの心の面でも

少しでも安心させてやりたい。



日頃から思うその気持ちからか、

さなから目を離すことは無かった。











「さて!準備は整いましたので!

雨乞いの儀式へと移らせて頂きます!」




一際大きな声で号令をかける子狐妖。


言った通りの順で並び

夏目には狐面が付けられ

さなには狐面と真っ白な布が

頭から身を守る様に

海雲を摺る程長く被さっていた。



「すまない、感謝しています。」


「・・・?」



ぼそりと零す

日照雨様の言葉は


隣に立つさなしか聞こえなかった。



その詫びの言葉の意味も

今はまだ分からないままで。


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