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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第15章 ◆狐ノ嫁入




「此度は

夏目殿、さな殿の力添えによって

雨乞いの儀式が遂行出来るとあり

感謝してもしつくせない・・・。

我々一同、心から感謝いたします。」




日照雨様が頭を下げたまま

感謝の意を述べるも、

夏目もさなも想像し得なかった程の言葉に

思わずポカン、と固まる。



「いえ、そんな・・・」

「そうです、頭を上げてください。」


なんとか絞り出すように出る言葉も

ハッキリとはしない返事で・・・。




そんな中、


「おい、私を忘れておるぞ。」



この緊迫した空気を打破してくれたのは

やはり、ニャンコ先生。



「全く、ここに来て1時間も経つというのに

酒の一杯も出ないとは・・・

遠路遥々来た意味が無いだろう。」



プリプリと苛々を顕にしながら

夏目の肩へと登り落ち着くニャンコ先生が

リボンまるけの顔で日照雨様を睨んだ。



「な、な!何たる無礼を!だ達磨狸め!

相手が日照雨様と言うに・・・!

分かっていての口の利き方か!」


「そうだぞ!先生。

まだ挨拶の途中だろう、酒の話は後にしてくれ。」


「・・・ハハハ。」



ニャンコ先生のいつも通り

自己の欲求に忠実な発言のお蔭で

一気にいつも通りの空気に戻る夏目とさな。


ため息混じりにニャンコ先生を宥める夏目と

ふっと肩の力が抜けるさなは

自然と口元も上がっていた。




「これは失敬致しました。

酒ならばいくらでも出しましょう。」


「そ、日照雨様!」


夏目達のやり取りに小さく笑って答える日照雨様。

子狐妖がその名を呼ぶものの、

その表情は狐面によって伺い知れないが

ふふっと小さく吐く息によって

柔らかい雰囲気を醸し出していた。



「儀式に参加して下さるのです。

少しばかりですが、饗をさせて頂きましょう。」



「うっ・・・、

日照雨様がそう仰るのでしたら・・・

仕方ありません・・・。」




この世界のトップである日照雨様の言葉に

反論は出来ず口篭る子狐妖が

しゅん、と肩を落とした。



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