第37章 第36セット
愬波ちゃんが優の方を向き、OKサインを出した。
少し不安そうな顔をしながらボールを叩きつける優。
その不安はどちらに対してデスカ。
自分のサーブですか
それとも、俺らのレシーブですか
ほぼ100%俺らデスネッ!!!
ボールを顔の前に持ってきて呼吸を整えた時
大勢いるはずの体育館に
一瞬にして静寂が訪れた。
「マジのやつじゃん、、、」
いつもと同じようにボールをあげ、
いつもと同じように飛び、
いつもと同じようにあの小さな掌からボールを放った。
岩「及川ッ!!」
ドッ
という音がしてボールが上がった。
けどボールの勢いが殺せず、俺はよろめくし、肝心のボールはだいぶズレたところに飛んでいった。
愬「これが、この子の特技です!」
そして何事もなかったかのようにステージから去っていった。
岩「また負けだな!」
「岩ちゃんうるさい!」
「「「「かーっこいいーー!!!」」」」
観衆のハートを根こそぎ奪い去って