第35章 第34セット
*岩泉side*
久しぶりの学校。
今までなら感じない緊張。
優と会うからだ。
ここまで会わなかったことはない。
朝練もまともに出来なかったほど。
教室に入って優の姿が見れて安心した半面、及川と一緒にいるのを見て、ドロドロとした醜い感情が湧き上がった。
優に話しかけたいと思っても周りに人が絶えねぇし、何より、拒絶されてしまったらと怖気づく。
いつから俺はこんなビビリになったんだろうな。
お前のことになると普通のことができなくなるんだ。
今はただ、遠くからお前を見ることしかできない。
ホームルームで決まった体育祭の出場種目。
毎年の如く優は全種出場。
バレーにも出る。
あいつの本気バレーが見れると思うと口元が緩んじまう。
周りに変な奴って思われないよう、肘をつき窓の外を見上げた。
空は雲ひとつ無い、快晴だった。