第33章 第32セット
「好きだよ。優」
急に明るくなったと思ったら遠くで花火の音がする。
花火、始まったんだ。
花火の明かりに照らされた優の顔には戸惑いの表情が浮かんでいて、顔には嘘でしょ?って書かれていた。
やっぱり嘘だって思われてるか、、、。
「優。嘘なんかじゃないよ。ほんと。
花がぱぁっと咲いたように笑う笑顔も
常に周りを気遣う優しさも
俺と岩ちゃんにだけ見せる少し抜けてるとこも
たまに見せる弱さも
お前の人を魅了するプレーも
楽しそうにバレーをする姿も
全部が好きだった。
優は岩ちゃんのことが好きだと思っていた。
岩ちゃんのほうが俺より頼れるし、優を支えられる。
岩ちゃんが優を好きなのは見ててわかったし。
だから、俺は身を引こうと思った。
他の子と付き合ったらお前のこと忘れられるかと思って、遊んだりもした。
岩ちゃんと優の幸せなとこ見れば諦められると思った。
必死に幼馴染みでいようとした、、、。
けど、ダメだったッ、、、。
岩ちゃんに任せておけないって
つらそうなお前見て俺が支えてやりたいと思った。
ねぇ、優。
俺の彼女になってもらえませんか?
俺に、お前を支えさせてもらえませんか?」
すべてを言い終わると優は泣いていて
思わず抱きしめた。