第30章 第29セット
*牛島side*
中学の時からお前が好きだった_____
そう言った時、
優はつらそうな顔をした。
どうしてかは分からなかった。
俺は、バレーしてこなかったから
女心なんてものは全くわからなかった。
けれど、優がツラそうなのは
見ていられなくて、思わず抱きしめた。
弱々しく押し返そうとするが、俺にはびくともしない。
こんな小さな体であんなにすごいスパイクやサーブを放ち、俺のスパイクを受け止めるのかと思うと感心しかしない。
今までに見たことのない弱った優の姿が愛おしくて
もっと早くこうしたかったと
あの頃の自分に後悔した。
あの頃の俺は、今よりも人と関わることが苦手で、
優がいなかったらチームに馴染めてはいなかったと思う。
優がいるだけで頑張ろうと思えたし、
優が笑うなら喜んで傍にいようと思った。
口下手な俺に、それを伝えることはできなかったが
いつも思っていた。