第2章 紳士君、大誤算。
友人に一度だけ、言われた事がある。
「・・・何か、あれだな。天音ちゃんてお前に全然デレないんだな。・・・ツンツンしてる天音ちゃんしか見た事無いけど、二人の時はやっぱりデレたりするのか?」
言われてみればそうだった。
後ろから抱きしめてみても、相手を呼んで振り向きざまにキス(友人は何故俺がこれを上手くできるのか不思議でならないそうだ)してみても、こちらからねぇ手繋ごうと誘っても
『暑いからやだ。』『恥ずかしいから後でやる。』なんて返されてしまう。二人の時でもそうだ。
多分彼女なりの照れ隠しなんだろうと分かっていても、俺もそんな態度で返されて全然平気、ってわけでもない。
俺だって、寂しくなるんだ。
だからたまに、
『もーちょっとデレて欲しいなー・・』とか
『まだくっついてたいなー・・』とか言ってみたりすると、ちょっとだけ顔が赤くなって『んー・・』なんて言いながら擦り寄ってきてくれる。
そんな天音は凄く可愛いし、大好きだ。
素っ気無い態度も、ときどき使う俺の我が侭に弱い所も。
全部が可愛くて、愛しくて。
だから誰にどう言われようと、とりあえず俺は今のままでかなり幸せなんだ。
だから別にこんなイタズラしちゃっても良いよな。
・・・・・とか思ってた俺バカ野郎・・
いやまぁ、結果イイモノ見れましたけど・・