第6章 真実をしりたいだけ
ディオは、私に恐怖しているのかもしれない。
自分と同じブランドーの血筋を受け継ぐ私に…そう、きっと恐怖している。
同じ考えをもち、同じように育ってきた私が怖い。
でもきっと肉親だから、殺すことを戸惑っている。血の繋がった、双子だから、戸惑っている。
「ディオ…ねえ、聞かせて」
私はいま、ナイフも持っていない。確かに今ディオを殺せば満足だわ。でも私には殺すというだけでは達成されないことがある。
それは、真実を知る事。
私は追い出された時混乱し、気が付けば町でへたりこんでいた。その時はディオに嫌われた、ディオに突き放されたと思っていて、今でもその感情は変わらない。
だけど、本当にそうなのか、私の事が嫌いになったのか。小さい頃は私をあんなにも慕ってくれていたディオが果たして、本当に私の事が嫌いになっただけで追い出したりしたのか。
なんであの時マフラーを売ってしまったのか…。
「…姉さんには負けたよ、素直に話すから、座ってくれ」
ディオは溜息をついて紅茶を出してくれた。
一口飲めば、ああ、高いものなのだなとわかる。
「で、…まず、どうしてあのマフラーを売ってしまったの?」
金になるようなものでもなかった、長年使っていたものだったから高価にもならないだろうし、誰も買いやしないのに。
「ディオ」
「…ああ」
渋々といった表情でディオは組んでいた足を戻した。
「その前に、姉さん」
「なあに?」
「…俺の事は嫌いかい?」
何を突然、言い出すんだろう。
「…ええ、嫌いよ。今のあなたは大嫌い」
答え何てわかり切っていたでしょうに。
ディオは少し笑って、
「俺は姉さんが大好きだ」
と言った。