第5章 悪者プルガトリオ
「まさかグリオリオファミリーのボスがあんなに情けないマザコンだったなんてなあ」
ギディオンはの隣に腰掛けるとの肩に腕を回した。 若干お酒の匂いがする。
「そういえばロカさんは? 」
「ロカはなんか用事が出来たらしくて俺らを送った後どっか行ったよ」
「こんな夜中にですか……?」
「多分、病気になった姉ちゃんの看病じゃねえかな。 あいつ、身体弱い姉ちゃんがいるんだよ」
何だか想像が出来ず、は首を傾げた。 お姉さんにも敬語で接したりするのだろうか、と素朴な疑問を抱く。
が一人それを考えて呆けているといつの間にかダレルが酒の瓶を持ってきていた。
「さ、お子さんたちは寝んねする時間だぞお」
「リーダーまだ呑むの? グリオリオのとこで呑んだばっかりじゃん」
「メリルも二十歳じゃないから寝んねしろ」
「言われなくても寝るよばーか! ほら、、ダリル部屋戻ろ」
不貞腐れた表情のメリルはギディオンの向かって舌を出してはを睨みつけるように見た。
「は、はい! じゃあギディオンさん、ダレルさん、おやすみなさい!」
は立ち上がり、ギディオンとダレルに頭を下げた。
ダレルは小さくおやすみ、と返してくれたがギディオンは相当酔っているのかの腰に抱きついてきた。
「おやすみー」
「え、あっ、おやすみなさい! 寝ますね、私寝ますから」
「リーダーちょっとマジできもすぎなんだけど」
メリルは無理矢理の腕を引っ張って救出すると、ギディオンの脛に蹴りを入れてそのまま階段を上がっていった。 ダリルも後ろから駆け足でついてきた。
「、嫌な時は嫌ってはっきり言わないと。 リーダー酔っ払うと歯止めきかなくなるんだから」
「はい……。 ありがとうございました」
「この前なんてメリル兄ちゃん酔ったリーダーに脱がされかけちゃったもんね」
「ダリルだってリーダーにぬいぐるみみたいな扱いされて泣きかけてたじゃん」
どうやら相当酒癖が悪いらしい。
「……とにかく僕もう寝るから。 おやすみ」
「僕も寝る! 姉ちゃんおやすみ!」
「おやすみなさい、また明日」
そう言って三人は個々の部屋へと戻っていった。