第5章 悪者プルガトリオ
グリオリオファミリー作戦決行日。
夜明けにはギディオン、ロカ、メリル、ダレルは古城を出ていってしまっていた。
そして午前9時。
は目を覚ますと顔を洗ってから寝間着を脱ぎ捨て、持ち合わせていたワンピースに着替えた。
何となくカーテンを捲ると空には暗雲が立ち込めている。 いつ雨が降ってもおかしくない空模様。
「ギディオンさん達……大丈夫かなあ」
作戦に参加できなかったはただそう心配そうに呟くことしかできない。 逆に作戦に参加していたとしても足手まといになるだけなのだが。
この弱い立場がイマイチ歯痒い。 はこんな自分を変えたくて仕方なかった。
「はあ……」
そんなの口から溜息が出るのと同時に腹から栄養を要求するような大きな音が鳴った。
とりあえず朝食を摂ろう。
は部屋を出て玄関ホールの隣にある食堂を目指したのだが__
「やあ! 姉ちゃんおはよ!」
玄関ホールのソファーに座り膝に乗せたパソコンを弄っているダリルに声をかけられた。
「あ、おはようございます、ダリル君」
挨拶を返してみたのだがダリルは視線を此方に向けずパソコンのキーボードを忙しなく打っている。 10歳とは到底思えない手つきで。
何をしているのか気になったはそっとダリルの後ろに寄り、画面を覗き込んだ。
そこには黒い背景の掲示板の画面が広がっていて赤い文字が目まぐるしい速さで流れていっている。
どうやらダリルはそれに全て目を通し、情報交換を行っているらしい。
もこの掲示板はGrImMsの事を調べる際に利用したことがあったのだが薬物取引や誘拐の打ち合わせなどが常に行われており大変警戒しながら使っていた。 それを10歳の子供が。
が見てもわからない専門用語が時折ちらつき、言葉も難しい言い回しばかりだ。 ダリルはそれを理解している様子でキーボードを打ち続ける。