第3章 悪者エレジー
「……まだ私が切っちゃったドレスのこと怒ってます?」
がそう訊くと、メリルは怪訝そうに顔を顰めながらの方を見てきた。
「怒ってるに決まってんじゃん」
「あ、えと、そうですよね……! ごめんなさい、弁償します」
「それよりも」
メリルがいきなり歩を止めたので、も慌てて歩くのを止めた。
「君みたいに、弱いくせして粋がってる奴嫌いなんだよね」
「ご、ごめんなさいっ」
「そういうのがムカつくの! うざい!」
イライラを隠しきれない様子のメリルはそう言い捨てるとまた早足で歩きはじめた。
は少し距離を置きながらついて行くことにした。
激しい憎悪を含めた瞳がの心にじんわりと滲む。 いつの間にか涙も溢れて、嗚咽をこぼさないように泣いた。