第3章 悪者エレジー
「、これ一日かけてお前の為に用意したんだからな」
玄関ホールは様々な色で彩られていた。
よく見れば中央階段の先には「ようこそ」と大きな字で書かれた弾幕があり、大きなケーキやその周りには様々なお菓子が並べられていた。
普段窃盗や殺人を犯している集団がやることには思えない。
「全部私の為に……?」
シャンデリアに照らされたの瞳がきらきらと光る。
「そうだよ!お姉ちゃんの為に僕達頑張ったんだあ」
「……いや、ダリルは菓子を摘み食いしていただけだろう」
わいわいとを囲んで深夜の古城は愉快な声に包まれた。
「改めて自己紹介をしましょうか」
まるで執事のようにお盆に飲み物を乗せて運ぶロカが微笑んでそう言う。
「じゃあトップバッターは俺だよな。 ギディオン・ハーヴェイ、分かってると思うけどここのリーダーだ。 よろしくな」
の頭を撫でながらギディオンは笑った。
どうやら、ちょうど撫でやすい位置にの頭があるらしい。 事あるごとに撫でてくるようになった。
「私はロカ・クラウン。 城とギディのことは何でも聞いてくださいね」
細く美しい金髪を揺らしながらロカはワイングラスに注がれたオレンジジュースをに渡してきた。はお礼を言いながらそれを受け取る。
「メリル・デンゼル。GrImMsの超可愛い切り込み隊長。 以上」
つん、とから顔を逸らしながらメリルが呟くように言った。
未だにドレスのことは許してもらえていないらしい。
「僕はダリル! 10歳!」
「……ダレルだ」
両手を広げて10、を示してくるダリルと、相変わらず表情一つ変えないダレル。
本当に兄弟なのか疑わしいものの、顔立ちはやはりどことなく似ている。
「、ゆっくりでいいから馴染んでくれると嬉しい。 辛いこととかあれば相談乗るし」
「ありがとうございます」
__まさか、こんなに歓迎してもらえるだなんて。
「明日から忙しいですよ、さん」
「大丈夫です! 皆さんと一緒なら」
は微笑んだ。
「まだまだ何にも知らない未熟者ですが……よろしくお願いします」
甘い匂いを残して、夜は徐々に明けていく。