第3章 @ 影山飛雄
部活が終わると、夜遅くになる。
今日は片付けの当番だったこともあって、あたり一面真っ暗だ。
しかも今日はバケツをひっくり返したような雨が降っていて、絢の気持ちは沈んでいた。
一応傘を持ってきておいてよかった。
傘をさして帰ろうとして体育館の前を通ると、見覚えのない背の高い男子を見かけた。
空を見上げているその横顔が、なんだか綺麗に見えた。
もしかして、傘を持っていないのかも?
『…傘、ないんですか?』
その男子は驚いた様子で答えた。
「あっ、はい、忘れてて…。」
『送っていきましょうか?』
柴田絢、人生初の相合い傘である。