第1章 私達は生きる。
翌朝、校内の行動範囲が広くなっていることに気付く。
みんなで外へ出るための出口を探した。
でも、いくら探してもそんなものは無かった。
新しく行けるようになった2階。
そこで退屈しのぎをする人も多かった。
私はいつも通り部屋に居た。
得意の裁縫で暇潰し。
監視カメラに見つめられながら、黙々と針を滑らせた。
誰が殺された?。
例のプログラマーだよ。
誰に殺された?。
それは分からないよ。
また、あの裁判?。
証拠を集めなくちゃ。
アリバイを証明しなくちゃ。
裁判が、また始まる。
誰が殺した。誰が殺した。
俺じゃない。私じゃない。僕じゃない。
お前じゃないのか。
あなたがやったに決まってる。
学級裁判は空回る。
飛び交う糾弾の声を見守りながら、私は行方を眺めてた。
あの髪の長い、色素の薄い娘。
いつも手に黒い革手袋を着けた娘。
あの娘の推理がまた光る。
残りは11人。
少し食堂が寂しく感じる。
殺人鬼の別人格が発覚した文学少女と、初めて出来た親友を亡くし意気消沈した風紀委員。
状況はどう見ても良くなったとは言えない。
それでもまた、学級裁判を終えた特典とでも云うように行ける範囲が広くなった。
3階まで、みんなで見に行った。
此処にも出口らしいものはない。
みんなはがっかりしていた。