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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第5章 forbidden lovers


 シャロンがセフィロスに再会してから月日が経った。彼女は北へ向かう旅へ出て、コレル山まで辿り着いていた。セフィロスの言う北というのがどこを指しているのかわからず山から途方も無い景色を見渡す。

 無計画な旅に出てしまった、と彼女はため息をつく。
コスモキャニオンには戻っていなかった。セフィロスがまだ近くにいないとも限らなかったからだ。災いが降り懸からぬよう、できるだけ離れていようと考えていた。

 あの時ニブルヘイムに置き去りにされた後、ヴィンセントの生存を聞かされた彼女はすぐにでも彼を探しに行きたい気持ちだったが、遠くで悲鳴が上がったのをきっかけに北への道が開かれた。

 悲鳴が聞こえたあたりにたどり着くと、5人組の旅団が壊滅状態になっていた。
テントを張って休息をとろうとしていたのだろう。骨がむき出しのテントと、体を切り裂かれた男女の遺体がそこにはあった。
無数の傷口は綺麗に割れてまだ温かい血が流れていた。刃物、それも長刀だ。
魔物の爪などであれば皮膚がもっと傷んでいる。

彼女は回復魔法をかけたが、彼らが息を吹き返す事はなかった。


 そうして彼女はただ真っ直ぐ北へ向かった。
ヴィンセントへの気持ちは一旦しまって。自分の欲望のために費やす時間はできるだけ短縮するのだ。足踏みをしているほど、被害者が増えていく。

早くセフィロスを止めなければ。その一心で歩き続けた。
どうしたら止められるのか? それはわからないが、何もしないよりはましだった。


かつて何もできなかった自分を戒めるように。
セフィロスへの罪を償うように。彼女は歩き続けた。
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