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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第9章 瞳の住人


 コスモキャニオン、自然と共存する渓谷の村。
シャロンが一時期身を置いていた場所である。
赤い土に降り立つ一行の中で、うずうずと落ち着きなく足踏みするこれまた"赤い"獣がいた。

「シャロン! 早くじっちゃんのところへ行こう!」
「あっナナキ! 待って〜!」

ナナキ、レッドⅩⅢとも呼ばれる彼の故郷でもある。
横を通り抜けていくレッドⅩⅢを追う前に、シャロンがちらりとヴィンセントと目を合わせる。

「フ、あとで追うから……心配するな」
「うん、それじゃあ、先に行ってるわね」

ヴィンセントは嬉しそうに笑う彼女につい小さく手をふる。
しかし、その姿を物珍しそうに見物しニヤつくシドに気付き、誤魔化すように手を口元へ移動させ咳払いをした。

「なぁに照れてやがんだよ! いいじゃねえか、ツレがいるってのはよ」
「いや……しかし、私のキャラクターというものが……」
「訳ワカンねぇこと言ってねーで行くぞ」
「あ……待て、彼女の後ろは私が」

”彼女”と呼ばれる人物に目を向ければ、階段を吹き上げる風に煽られ必死にスカートを抑えていた。
ヴィンセントの視線を追いシドもその様子を目撃すると、ヴィンセントを睨み付ける。

「見ねぇよ」
「そうしてもらおう……」
「ま、約束はできねえがな!」
「!」

ヴィンセントが銃を抜くふりをしてシドを威嚇していると、後ろから足音が聞こえる。乗り物酔いから覚めないユフィがそぞろ歩きでメンバーに追いついた。

「うわー、モロおっさんの会話……おえっぷ」
「もうここはクラウド達に任せて、私たちはここで待機しましょ」

先頭と距離が離れたことで、ティファが自然に待機メンバーをまとめる。
勿論シャロンのスカートの中を男たちの目から守る目的もあった。

「しかし、彼女に後で行くと……」
「じゃああと五分後!」

ティファに窘められ、他のメンバーは下で待機することになった。
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