第16章  狂った果実～アランorルイ編②～

『ユーリっ』




アランは急いで

モノをルイから引き抜いて

ユーリを追おうとした。




が。




がたん……




大きな物音がして。




振り返ると

ルイが調理台の横に崩れて

今にも気を失いそうに

荒く息を吐いている。




「はぁ…はぁ…はぁ…」




（ええ！？

ちょっ……

おいおいしっかりしろよルイっ。

ヤリ過ぎた？

……………っ

ああ、もう！！）




『大丈夫か？』




アランは

ルイの傍にしゃがみ込んだ。




「……行けば？」




ルイの声が

冷たく放たれる。




『え…』




「…会いたかったんでしょ？」




『……………』




アランは短く沈黙を落としたあと、

無言でルイをそっと抱き上げた。




ルイは小さく瞳を見開いた。




「……追いかけないの？」




『うるせえ。黙ってろよ。』




（………ああ、俺って…）




アランはそのまま

バスルームに向けて

歩き始めた。




「……アラン…」




アランの凛とした横顔を

ルイの碧い瞳が

じっと見つめた。