• テキストサイズ

プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第16章 幼馴染み【菅原孝支】


「だから、あー、スガさんも春乃さんのこと好きなんだーって思いました。それと同時に自分の失恋を確信しました」
「え?」
西谷の口から出た『失恋』のワードに聞き返す。
「スガさん、気づいてなかったんですか?」
「何が?」
「そっかー。気づいてなかったんですかー。鈍感だなー。スガさんも、春乃さんも」
「だから何だよ」
「スガさん達、両想いですよ」
「は?」
また西谷の言葉に驚く。何言ってんだ?
「だから、スガさんと春乃さん、両想いですって」
頭が着いていかない。俺と春乃が??本当に??
「もう2人とも鈍感っすからね。もう見てるこっちが焦ったかったですよ」
驚く俺をよそに、西谷は言葉を続ける。
「スガさん、いい加減一歩前に踏み出してください」
「え?」
「さっき春乃さんに諦めたなんて言いましたけど、本気で好きになった人を忘れられるわけないです」
「西谷?」
「いい加減、諦めさせてください。スガさん達がこうやって踏み出さないままだと俺、何するかわからないです。だから、俺に春乃さんを忘れさせてください」
少し苦しそうに話す西谷に、俺は何もかける言葉が見つからない。
「スガさん、いい加減想い伝えてください」
西谷はそう言ってから田中達の側へ行ってしまった。
あーあ。後輩にあそこまで言わせるとか、俺ってかっこ悪。
「俺と春乃が…」
そう呟き、さっき西谷の言ったことを思い出す。
『いい加減諦めさせてください』
西谷、相当辛かっただろうな。自分の失恋がわかったまま好きでいるのは。俺だって嫌だ。
西谷の言葉に、何か勇気をもらった気がする。ありがとう西谷。おかげで言えそうだ。言いたくて言えなかった言葉を。
/ 71ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp