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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第13章 待ち伏せ 【烏養繋心】



《まもなく、電車がまいります。危ないですから安全柵の内側へお下がりください》
ホームにアナウンスが響く。先輩が帰ってくる日と新幹線の時間を瀬良さんに教えてもらった。
電車がホームに入ってきた。俺の心臓は激しく鼓動を打っている。
ドアが開き、沢山の人が降りてきた。
「先輩、どこだ?」
降りてくる人々を掻き分けて先輩を探す。
ーいた。
見慣れた顔がいた。知っている。俺の大好きな人。間違えるはずがない。
「希美先輩!!」
めいいっぱい先輩の名前を呼ぶ。先輩は俺の方を振り返った。
「け、繋心!?な、なんで!?」
さらに人を掻き分けて先輩のところへ向かう。
「先輩!」
気がついたら抱きしめていた。
「先輩、会いたかったです」
俺が言うと、先輩は俺の背中に手を回して背中をさすってくれた。
「私も会いたかった。久しぶりだね?」
「…半年ぐらい待った」
「うん」
「さみしかった」
「うん」
「会えて、良かった」
「うん。私も嬉しいよ、繋心」
俺は自分の腕の中に収めていた先輩を離し、手を握る。
「あの、先輩…」
「ん?どうしたの?」
「あの、えっと………」
なかなか言い出せず、先輩の顔を見ると優しく微笑んでいた。
「先輩、俺はまだまだ先輩にはかなわないし、こんなだけど、先輩の事、好きです」
「繋心……」
「………」
「私も、好き。ありがとう、迎えに来てくれて。嬉しいよ」
「先輩…」
もう一度、先輩を抱きしめる。
「……希美、愛してる」

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