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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第12章 幸せ 【岩泉一】


「あー!!!希美さん!!」
「徹!久しぶりー!」
「希美ねぇちゃん!」
「あ!翔陽!久しぶり!一から聞いたよ?仁花ちゃんと結婚するんだって?」
「うへへ」
希美が言ったことに日向が頬を赤くさせて嬉しそうに頭をかいた。
「幸せになりなさいね」
「そう言うねぇちゃんは?まだ?」
「え?まぁね。彼がまだ言ってくれないの。待ってるんだけどねー」
そう言って希美が俺の方をジトッと見てくる。その視線に思わず身を固くする。
「じゃあ、俺と結婚しますか?」
そう言いながら希美の肩を抱いた及川の行動に一瞬思考が止まる。
「え?徹ほんと?私と結婚してくれるの?」
そう言って希美が嬉しそうに笑った。
「はぁ?何言ってんだよ…」
自分でも驚くくらい声が低くなった。そんな俺の声に希美と及川の顔が引きつるのがわかる。
「は、一?」
「希美と………希美と結婚するのは俺だ!!」
そう叫んで希美の腕を引っ張り自分の方へと引き寄せる。
「希美と結婚するだぁ?ふざけたことぬかしてっとぶっ飛ばすからな!!」
そう及川に言って希美と一瞬に体育館から出る。

「はぁ〜……」
しばらくたって自分のやらかした事の恥ずかしさにため息が出る。
「悪りぃ。頭に血ぃ登った。ごめん」
「ううん」
希美がスクスクと笑ってる。あー!穴があったら入りてぇ!!
「ねぇ、一。さっきの言葉嬉しかったよ?」
「え?」
「『希美と結婚するのは俺だ!』ってやつ」
「…ああ、あれはその」
「ほんと嬉しかった。私、結構待ったんだけどなぁ。ちゃんと言ってほしいよ」
「………」
希美の頬にそっと手を添えて目を見る。
「希美、俺と……、俺と結婚してください」
俺の言葉を待っていた希美がにんまりと笑って俺の手に自分の手を添える。
「うん。幸せなろうね?」
「おう」
そう言ってお互いの唇を重ねた。
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