第5章 好きな人
「奈々!」
「あ、お兄ちゃん…
あ、あのね、友達の家にちょっとお泊りしてて…
連絡もしないで心配かけてごめんね」
やっと奈々が家に着き、玄関のドアを開けると奈々の帰りをずっと待っていたのか玄関に座り込んだ姿の静雄が目に入り、奈々の姿を見るとホッとしたようにするもすぐに怒ったように名前を呼んだ。
静雄が怒っていることは予想していたのか帰りながら考えていた言い訳をなるべく不自然にならないように平静を装いながら奈々は言った
「友達の家だぁ?
あのノミ蟲のところだろ
嘘なんかついてんじゃねぇ」
「え…?なんで知って…」
奈々は自然な様子で言うことが出来たと内心満足していたがすぐに返ってきた静雄の言葉に驚いたように目を見開いた
「昨日、何度も電話かけてたらアイツが出たんだよ
あんな野郎に痕までつけられて来やがって」
驚いた様子の奈々に気付いてなかったのか、と呆れながらも見せつけるように付けられているキスマークに気付き、さらにイラついたように眉を顰めると、我慢の限界だったのか奈々を担ぎ上げ自室まで連れて行き、自分のベットに奈々を放り投げるように少し乱暴にベットへと寝かせ、奈々に馬乗りになった
「お、お兄ちゃん…?きゃっ…」
担ぎ上げられると奈々は下着を身に付けていないため慌てたようにしていたがやがてベットへと置かれると痛みに顔をしかめながらも静雄を戸惑ったように見つめていた
「よく俺のベットで一人でオナニーしてたみたいだからよぉ
お前が俺のことを好きなんじゃねぇかと思ってたが、ただ見られたかっただけの変態だったとはなぁ」
「っ…な、なんで」
「たまにお前が全裸のまま俺のベットで寝ちまってるからだろうが…
近くに落ちてる下着もぐちゃぐちゃに濡れてるし、さすがに気付くだろ」
静雄の言葉に、奈々は何度かベットへと戻った記憶がないのにきちんと服を着て自分のベットで眠っていたことがあったこと思い出した
静雄が何も言ってこないこともあり、寝ぼけながらも自分でやったのだろうと思っていたが、あれはお兄ちゃんがやってくれていたのか、と気付かれていた恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらどこか冷静な頭で納得していた。