第23章 傘と雨
征君。
その声が聞こえてきて赤司ははっとなってあたりを見回した。
イヴが自分を必死に探しているのだろう。
自分がやるべきことにまたあたりを見回したのだが、今さっきまで画がなかったものに釣り針を見つけた。
これでもしかするとイヴたちにこのカサを渡せるかもしれない。
釣り針に赤い傘をかけると、傘は画の中へと入って行ったのだった。
赤「イヴ、大丈夫だ
もう少しで出会えるよ」
赤司の声が聞こえたと同時に、目の前にあった釣り人が釣っていたものは赤いカサ。
一体どこから来たのかはわからないが、カサを受け取ったのだ。
メ「イヴ! カサって・・・!」
「うん、そうだよ!」
今さっき出て来た部屋へと戻り、あの画の前へと立った。
持っていたカサを乙女へと渡すと・・・
メ「え? え!?
部屋の中なのに
雨が 降ってきた!」
「うん! なんかすごい・・・」
びしょぬれになる前に二人で出ようとイヴは歩きだしたのだが、メアリーはもう一度この部屋を散策しようと言いだした。
イヴはもうこの部屋にはなにもないから戻ろうと声をかけるのだが、メアリーは一人歩きだしていた。
イヴは溜息を吐きつつ、彼女を追いかけた。
メ「やっぱりなにもなかったね・・・」
「う、うん・・・
早く部屋から出よ?」
机の下など散策したのだが、やはりなにも出ることがなかった。
長時間雨に当たっていたためイヴの身体は震えていた。
メアリーも濡れているのだが、そのような行動を起こすことがなく、身体が強いんだなと羨ましがっていた。
部屋から出るとなにも変わらないこの状況に心細くなっていた
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